2010年8月9日月曜日

奈良原一高写真展”手のなかの空”

島根県立美術館で7月30日から9月13日まで奈良原一高写真展が開かれている。

今も、また将来も写真家でありつづけたい、写真を心から愛する人でありたい、と願う人であるならぜひ足を運ばれることをお勧めする。

この展覧会では奈良原氏のデビューから2004年までの作品を年代順に追っていくことができる。

「僕にとってカメラはポータブル・タイムマシンだった。このマシンを携えて旅をしてみると、世界は奇跡に充ちている。」

と奈良原一高写真集・時空の鏡の扉にある氏の言葉のように、氏がどのようにカメラとともに世界を体感し、その刹那、刹那を感じ、生きてきたのかを追体験することができる。

美術館でオリジナルプリントを見て、ていねいに作られたカタログで奈良原氏の言葉を追っていくと、初めて恋心を知った初心な乙女のようにどきどきとしてくる。奈良原氏の写真を通じて、写真を撮るという行為が限りなく新鮮なものに思えてくる。奈良原氏は写真というもののもつ根源的な魅力と魔力にとりつかれた人なのだ。

「宇宙は自分の存在を認識してもらいたい為に、知的生命体を創った、とも言われている。もしそうだとしたら、写真家こそ宇宙が最も期待する種族のひとつではなかろうか。」

そう、まさしく奈良原氏こそはこの宇宙で最も写真家であるべき人なのだ。

みずみずしい感性とアイディア、常に世界と真摯に、新鮮に対峙する姿勢、限りない好奇心、写真のスタイルにこだわらずにそのときに感じたものを最良の方法で仕上げていく手法、僕たちが奈良原氏に学ぶべき事は多すぎる。

ちょっと高い声音が独特でいつもにこにことやさしい。常に好奇心旺盛で僕たちにもこういう条件だったらどうやって撮影するのがいいのかな、などと気軽に話しかけてこられる。フレーミングに細心の注意を払われる撮影スタイルも圧倒的にさわやかだ。

松江にある島根県立美術館は宍道湖畔にあるとても美しい美術館だ。渋谷マークシティ5階から出雲行きの深夜バスが夜8時にでる。このバスに乗ると朝の6時過ぎに松江駅に着く。美しいシルエットを持つ松江城を見てから、ゆっくりと1日美術館で過ごして、また深夜バスで戻れば、往復24000円ほど。インターネットで予約すると片道8000円台になるそうだ。残念ながらインターネット予約はウインドウズとインターネットエクスプローラーに限られているらしいので僕は使えなかった。

この夏はぜひ奈良原ワールドに浸って欲しい。

島根県立美術館

宍道湖を望むことができる美しいエントランス。

開会式の後、蔦谷氏のギャラリーツアー。

アメリカ「消滅した時間」のオリジナルプリント。美しい。
山岸享子氏。
奥様の恵子さん。気軽に写真撮影に応じられていた。
2階では森山大道写真展他、山陰の写真家の写真展なども同時に開催。
美術館のレストランでランチ。美味でした。

2 件のコメント:

  1. 沖縄のとよチャンネルと申します。
    ぜひ見に行きたいのですが貧乏写真家で撮影費を削れないので図録があればそれを購入したいと思います。

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  2. 図録だけでも見る価値、読む価値がありますのでぜひ。

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