2014年4月29日火曜日

KYOTOGRAPHIEを見てきました。

KYOTOGRAPHIEを見てきました。一言で言うと大人のフォトフェスティバルでした。これまでの日本のフォトフェスティバルに足りない要素=写真祭の構造が明確になっていること、写真祭のメッセージを正確に発信していること、地域との協働、企業との協働、運営における心配り、参加する写真家に対する心配り、キュレーションに対する心配り、観客に対する心配り、運営の資金面等々がとてもよく行き届いている、またはそうする意志があるように見うけられる、ということです。
単なる思いつきやおおざっぱな枠組み、安易な賞の設定だけでは世界の写真愛好家に継続的にアピールすることができないと思います。なぜ日本から発信するべきなのか、いいところも悪いところもふくめて問いかけて行く必要があると思うのです。
このフォトフェスティバルを主催している人はアルルや諸外国のフォトフェスティバルの構造をよく研究していると思います。どのフェスでも主催している人の思いだけでは、上記のことをうまくやりくりするのは困難を極めます。なによりも協力してくれる写真家、キュレーター、観客に気持ちよく写真のお祭りを楽しんでもらうために必要な資金と人力を調達してこなければなりません。また地域の人々と同じ思いを持ってその地域を活性化するための配慮がなければなりません。 
ルッカでもヒューストンでも市長などのその地域のトップがニコニコと挨拶にやってくるのはそういう意味ですよね。日本では新潟・十日市で開かれる大地の芸術祭が地域との連携がうまくいきだしたフェスになっていると思います。KYOTOGRAPHIEでは町屋を展示場所に使ったところも多いのが期待できるところ。ヨーロッパの街ではコルドバやルッカなど旧市街と新市街をわけて歴史的な街並みと新しいニーズに対応できる街並みをうまく分けているところも多い。京都もぜひKYOTOGRAPHIEなどを媒介にして古い街並みをうまく保存して現代に対応していければいいと思います。

京都は学生時代からよく訪れた街で親しみが格別に深い街です。工作舎時代には遊ジャパネスク号での「御飯ですよ」の撮影、祇園祭、横須賀功光氏の撮影に同行しての御所の撮影などで訪れているし、コマーシャル時代にもロケが何度かあって訪れています。それでもここしばらくこなかったのだな、と新しくなった京都駅を見て感じました。空港のターミナルみたいなこのモダンな建物はほんとに京都にふさわしいのでしょうか。

ともあれKYOTOGRAPHIEが京都の街を彩りアジアから写真の光をなげかけるフォトフェスになるといいと思います。アルルやルッカにいかなくても国際的なフォトフェスの香りを楽しめるものなのでぜひ足を運んでみるといいでしょう。
5月11日まで開催しています。僕はJR東海ツアーズのぷらっと京都パッケージを利用しました。二人部屋で往復新幹線込みで一人24400円。このツアーだと新幹線の時刻がかなり限定されていて、6時、7時台の早朝出発と20時、21時台の遅めの帰りの時間が割増料金なしでとれます。それでもこの時間帯に行けばたっぷり2日間フォトフェスを楽しめてついでにおいしいものを食べたりする時間もあるというわけです。ホテルはからすま京都ホテルにしたので、ホテルから歩いて行ける範囲に5つの会場があったのも便利でした。KYOTOGRAPHIEのがんばったところはこの期間サテライト企画として京都のほぼすべてのギャラリーで写真展が開かれていること。サテライト企画を全部見ようと思ったら2日ではちょっと足りないでしょうけどね。
 
ルッカでもルネッサンス時代の建物に写真をどう展示するか工夫されていた。ここでも竹をうまく使っている。







 カタログのデザインは黒と赤を基調としていておしゃれにまとめてある。デザインはなにをメッセージしているかを伝える重要なポイント。
 京都市長のメッセージがのっている。行政をまきこむことも重要なポイント。カタログの領収書をもらったら一般社団法人KYOTOGRAPHIEとなっていた。組織を会社にするかNPOにするかなど含めて運営の受け皿をきちんとしておくのは主催者の意志を明確に表明していることにつながる。
 会場は市街のさまざまな場所を利用しているので分散している。地図は無料で配布されている。赤い数字を打ったものはパスポート入場券。2000円。
 フライヤーは本展とサテライトと2枚用意されている。
各会場にはそれぞれの簡単な解説パンフレットが置かれていて親切。