2009年7月22日水曜日

アルルフォトフォリオレビュー3

7月7日、朝の9時半から僕らのレビューは始まった。今回は僕の通訳もしてくれる奥様のセリーンもポートフォリオをもって自分のレビューもこなしていかなければならない。

レ ビュー1日目の朝一番はあまり人も多くなくてチェックインする人の列もまばらだった。レビュアーもまだあまりきていないようで閑散としている。今年のレ ビューの場所は写真で見る昨年の場所と違うような気がする。昨日すでに確認しておいたParc des Ateliersという工場跡地のようなだだっ広い場所のさらに一番奥のどでかい建物Grande Halleというところの一番奥がレビューの場所になっていた。

最初のレビュアーはAperture Magazine のEditor in ChiefのMelissa Harrisさんだった。彼女からは雑誌に掲載するための条件として写真のバックストーリーが重要だという指摘をいただいた。例えば、僕の福福星というシ リーズであればなぜ彼らはこういうファッションをするのか、彼らの日常生活との関連はどうなんだろう、できればクラブのパーティ会場の写真もあればいいし 雑誌に掲載するときの物語が必要なんだ、ということ強調していた。

次のレビュアーはスイスのギャラリスト・キューレーターのWalter Kellerさん。この人はなかなかマニアックな人で写真を見るときに少し遠くに離れてみたり、これハーネミューレだよね、と用紙の種類を確かめたりポートフォリオを見るときにいろいろとパフォーマンスが入るのがおかしかった。他の写真家の写真を見るときもわざわざ明るいところに移動してみたり、写真家に写真を縦にして持たせてまた遠くから見たりとじっくり写真を見てくれるところに好感がもてた。

アルルのレビューは各写真家の持ち時間20分の後にインターバルがはいらず続けて行われるので、前の写真家が長引くと時間がおしてしまう。時間の管理もルーズなので、前の写真家がねばっていると5分、10分くらいどんどん押してしまう。
フランスはどちらかというとラテン気質の国なので、この辺はシビアに考えないのだろう。結局昼休みの時間に食いこんでいったりすることでつじつまを合わせることになる。
その分自分で機転をきかせていかないとわりをくらうことになってしまう。

3番目のレビュアーはイギリスの編集者のSimon Bainbiridgeさんだったが、なんとこの人は1時間の遅刻をしてきた。アルルのフォトフォリオレビューのところで仕切りをしているのはほとんど学生らしき人たちなのでこういうときはどのように対処したらいいのかわからないであたふたとしている。午後の一番最後に振り替えてもらおうか、とかドタバタしているときに次の番の写真家の人が「僕は彼と知り合いだから、後で見てもらうことにするから先にレビューしてもらっていいよ」といってゆずってくれて、結局順繰りに遅らせることで何とかしたみたいだった。

レビューサンタフェは非常によく組織されて整然と進行していくレビューだったが、アルルはなんとものどかでルーズな進行だ。

これに腹を立てるか、それとも逆手にとるかでだいぶ様子が違ってくる。レビュアーのほうも、あなたの作品はここに来ている誰それに見てもらうといいと思う、僕からの紹介だと言って見てもらいなさい、などとアドバイスがある。アルルのレビュー会場は出入り自由なので、レビュアーの席のシート表を見てお目当てのレビュアーを見つけて、レビューの合間に交渉して昼休みに見てください、と頼むとたいてい見てくれることになる。

たとえ他のレビュアーの紹介がなくてもこの人と目をつけた人がいたら、レビューの終わるのをそばで待っていて声をかければ見てもらえる可能性がでてくる。せっかくアルルまで旅行費用を奮発してきているのだからここは図々しく、積極的にせめていくほうがいいのだ。







今年のレビューからレビュアーの投票によるプリント展示がなくなって、全てのレビュー参加者の写真が一枚ずつ展示されることになった。その他に2台のコンピューターで参加者全員の5カットずつのポートフォリオを見ることができる。

レビュアーの席順を示した紙が入り口に貼ってあるのでこれを見て自分のレビューしてもらうレビュアーを見つける。アルルのレビューは毎年変化があるようなのできっと来年はもっと変わるかもしれない。

2 件のコメント:

  1. 永田さま
    初めまして。渡部さとるさんのワークショップの修了生、Yasです。
    アルルのレポートがいよいよスタートして、とても興味深く拝見させております。
    私のブログで簡単にご紹介させていただきたく、事後承諾で申し訳ありませんが、お写真を一枚、お借りしてリンクを貼らせていただきました。
    今後ともよろしくお願いいたします。

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  2. 保坂です。
    去年と同じ会場ですね。
    フランス国鉄の鉄道整備工場?あとみたいです。
    あそこは日差しが強くて、乾燥しているところ、それに毎日通うことになる。(^^;
    高温多湿の東京人の僕にとって、じりじりと体力を消耗した思い出があります。

    去年、初日と最終日は、おまけのレビューみたいに感じました。
    レビュワーさんも、意外に気合いが抜けている。(^^)
    二日酔いで午前中なし!とか、去年もあったし。

    #来年行く方、初日はジャブのつもりで一件だけが良いと思います。

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