今年のレビューサンタフェに参加した写真家のなかでもHiroyo Kanekoさんほどラッキーな人はいない。
彼女はサンタフェで2年に一度選ばれるSanta Fe Prize for Photographyの2009年のウイナーである。
このプライズは2003年から始められていて、最初のウィナーはアレック・ソス。
彼女は現在サンフランシスコ在住の写真家で、漢字で書くと兼子裕代さんだ。
日本でも写真の仕事とライターの仕事をしていたそうで、アサヒカメラなどにも執筆していたという。その後サンフランシシコ・アート・インスティテュートで2年間勉強しなおしてアメリカで写真家としての本格的なキャリアをスタートさせた。
サンタフェのプライズはRaiko Photo Centerのディレクターが応募してくれていたものだそうで、推薦方式のノミネートだという。アメリカ全土から100人弱の写真家がノミネートされるそうだ。
彼女も、エー、そんなのにノミネートされたんだー、と友達と話し合っていたというがまさか自分がプライズをとれるとは思っても見なかったという。
そして今年の審査員はシャーロット・コットンである。
このプライズを取った人はレビューサンタフェにも参加料を免除されて招待される。アゴアシは自分持ちだが、7万円ほどもする参加費を免除されることは彼女にとってとてもありがたいことだったという。
彼女のポートフォリオレビューの参加は今回が2回目。サンフランシスコで行われるPhoto AllianceのOur World Portfolio Reviewというのに一度参加したことがあるそうだ。このレビューも事前審査のあるレビューのようだ。
プライズを取った彼女の作品はSentimental Educationと題された彼女自身の家族が温泉に入っているシーンを4*5で撮影したシリーズである。
日本人には江戸時代から浮世風呂的なみんなでお風呂に入って、そこがコミュニケーションの場所になる、という伝統のDNAがきざみこまれている。
僕も本人がどんな人かすごく興味があったのだが、本人はいたっておっとりしてのんびりとした性格の人だった。レビューサンタフェはみんながフレンドリーに和やかに進行していたとはいえ、レビュー自体は分刻みなので参加者はかなりの緊張とストレスにたえなければならない。
レビューはどんな感じ?と彼女に聞いてみたら、なんとサンタフェとサンフランシスコに1時間の時差があることもあって、最初のレビューに遅刻してしまったという話である。主催者から携帯に電話があって、どこにいるんだ、という連絡がありあわてて会場に急行したそうだ。
おっとりマイペースの彼女にはレビューの分刻みの進行はどうも苦手な領域らしいのだ。ポートフォリオレビューに参加するのはこれが最後かもしれないなー、とため息を漏らしていた。
おいおい、そんなことでどうするんだ、これはすごいことなんだよ、このチャンスにどんどんのっていかなきゃ、とむしろまわりにいる僕たちのほうがやきもきしてしまうくらいなのである。
彼女がこれからどんな写真家になっていくのか。日本でどんな風に彼女のことがとりあげられていくのか。
ぜひ彼女のおっとりとしてマイペースな性格をくずさないようにしながら成長していってもらいたいと感じたのだった。
Hiroyo Kanekoさんホームページ
Flak Photoのアンディ・アダムズ氏も熱心に兼子さんの作品を見ていた。
2009年6月14日日曜日
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