ところが、海外の写真家も日本の写真家もスライドショーを作ったことがない人もいて、案外基本概念が伝わらなくて苦労してしまった。 海外の写真家にお願いのメールをだしたのが、昨年の9月のことだったが、それから各写真家とのやりとりで自分で作る、という人とやり方がわからないから、データを送るので永田が作ってくれ、という人まちまちでの出発だった。
そこから、スライドショーのデータを受け取ったり、アーティストボード用のステートメントや略歴をもらったりという過程で時差もあるし、それぞれのペースがあるのでなかなか一筋縄で行くような作業ではなかった。 特に作品のステートメントの翻訳はものすごくむずかしかった。奥様のセリーンの弟がファイナンス関係の翻訳をやっているので、彼に頼んだのだが、言っていることに矛盾がすごく多くて翻訳できない、とのっけから返されてしまった。確かに写真の知識がないと難しい表現も多いし、論理的には矛盾している内容もある。そもそも写真を語る、ということ自体が論理的な整合性のない世界なのかもしれない。
そして各作家から送られてきたデータをひとつにまとめる作業もえらく時間のかかる作業だと言うことがわかってきた。全体のムービーの画質をあげようとするとレンダリングにえらく時間がかかってしまう。 それでも、iPhotoでスライドショーを作ってから、クイックタイムでかき出すときにH246ではなくてphotojpegで書き出すと画質がきれいになる、というティップスも獲得したのはいい勉強になった。
スライドショーを全部まとめてループで流すという作業の所は映像のプログラミングをされている東和信さんに、日本の写真家のスライドショーの制作とループムービーの制作では水谷充さんに全面的に依存することになってしまった。
僕がテクニカルな面のバックグラウンドをきちんと確立しないままにスタートしてしまった企画なので、ほんとうにボランティアでお手伝いいただいた両氏にはご迷惑をおかけしてしまった。水谷さんはこの件で新しいソフトを購入するために多額の負担までかけてしまった。 「どうせ必要なソフトだったから、ちょうどよかったよ。いろいろとテクニカルな面でも勉強になったし。」といってくださる水谷さんの笑顔がなかったら本当に今頃どうなっていたかわからないほど大変な作業だったのだ。
参加してくれた写真家の努力を考えると、プロジェクターもきちんとしたものでやりたい、と思ったので、キャノン、パナソニックにも協力を仰いだのだがうまくいかず、最後にわらをもすがる思いでイベント用のプロジェクターのリースをしている映像センターさんにお願いしたら、ご協力値段で貸してもらえるということになった。
それでも5000ルーメンクラスのプロジェクター2台を1週間レンタルするのに、十数万円かかった。アルルのスライドショーはおそらく1千万円単位クラスの費用がかかっているのだろう。
道は遠い。しかし、赤レンガ倉庫の中庭や海岸近くでアルル級の巨大スクリーンにいろいろな写真家のスライドショーが映し出され、生のバンドが演奏する、というシーンを想像すると、やっぱり日本でもやりたいものだ、と考えてしまうのだ。
ただ、写真の展示と併用だとなかなかみてくれないので、スライドショープログラムだけで見てもらう必要がある、と感じた。 スライドショーコンテスト、スライドショーフェスティバルといった形での見せ方も工夫しなければならないのだろう。





























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