西麻布の交差点から広尾よりのJ.P.C.インスタイル・フォトグラフィー・センターというスペースで産声をあげた写真のアートフェアがある。
日本で数少ないファインアートフォトを扱うギャラリーが集まって開催するThe JPADS Photography Show 20011(2月開催予定)の先行フェアとして開催されているものだ。名前からもわかるようにニューヨークで開催されるAIPADS the Photography Showを意識しているのだろう。
これまで日本ではファインアートフォトのマーケットが確立されそうでなかなか確立されてこなかった。
ぼくもかつて工作舎でてがけたオリジナルプリントショップJ1がなかなかうまく運営できなかったという痛い思い出がある。このショップは青山ベルコモンズの地下にあり、当時としては斬新なファッションからシリアスな写真家までのラインナップをめざしたショップであった。オープニング時には新正卓、与田ひろしといったファッション写真家と奈良原一高までが一同に展示されていた。
さてこのJPADS、呼びかけ人は元PGIのディレクター山崎信さん。そしてブリッツギャラリーの福川さんが音頭をとっているようだ。
くわしいいきさつは福川さんのブログをお読みいただきたいが、オリジナルプリントを買おうというコレクターにとってもっとわかりやすいマーケットをつくりたい、というのが基本構想。まったくもって同感だ。
いったい写真の値段というものはどんな価値付けからつけられているのか。そのことが写真を買っていただくお客様に納得されなければ継続的な購買にはつながらない。
アートを買うという行為は、自分の心を揺さぶった作品を独占できるという満足感、自宅に飾っておけば常にその作品世界とふれられるという心の栄養価、買った作家を認めたのは私だという優越感、タニマチ的な心情などなどいろいろな動機がおりこまれているだろう。
作品の値段は単なるプロダクトを買うという行為とは違う満足感とおりあうものでなければならないし、また買ったアートは世界(日本)でどのような位置にあるものなのか、という客観性もなければならない。
だからこそ、サザビーズなどのオークションの値段はアートの価値付けを保証するものとして重要視されることになる。
今回のJPADS結成がそうしたことの端緒になればすばらしい。12月10日〜12月19日までは第ゼロ会展示ということで5万円〜10万円の予算でかえるお手頃な作品が展示販売されている。ぜひでかけて見て欲しいと思う。
I.P.C.インスタイル・フォトグラフィー・センター
広尾・アート・フォト・マーケット第ゼロ回
福川さんのブログ記事
フォトクラシックの山崎さん。
ブリッツギャラリーの福川さん。
PGIの高橋さん。
6店の出展ギャラリー。
2010年12月10日金曜日
2010年11月29日月曜日
レンズスクラッチのファミリーオンライン写真展
以前お知らせしておいたAline Smithsonさん主催のLenscratch Family Exhibitionが発表された。
応募もカナダ、イギリス、フランス、ギリシャ、アイルランド、スリランカ、フィリピン、イタリア、メキシコ、コソボ、オーストラリア、コスタリカ、ノルウェーと世界中から出品された。とても残念だったのは日本からの応募はぼく一人だったこと。
ファミリーというテーマだから、自分の家族を写した写真が圧倒的に多かったが、たんに家族というテーマでもほんとうにいろいろな表現の仕方があるものだと感心してしまう。
とにかく面白いので見てください。もし自分が応募するとしたらどんな写真を撮るのかな、と想像しながら見るといいですよ。次回は多数の日本からの応募を期待しています。
Lenscratch Family Exhibition
応募もカナダ、イギリス、フランス、ギリシャ、アイルランド、スリランカ、フィリピン、イタリア、メキシコ、コソボ、オーストラリア、コスタリカ、ノルウェーと世界中から出品された。とても残念だったのは日本からの応募はぼく一人だったこと。
ファミリーというテーマだから、自分の家族を写した写真が圧倒的に多かったが、たんに家族というテーマでもほんとうにいろいろな表現の仕方があるものだと感心してしまう。
とにかく面白いので見てください。もし自分が応募するとしたらどんな写真を撮るのかな、と想像しながら見るといいですよ。次回は多数の日本からの応募を期待しています。
Lenscratch Family Exhibition
2010年11月27日土曜日
ルッカデジタルフォトフェスト2009
イタリアの小さな街ルッカで開かれるフォトフェスティバルはとても魅力的なフォトフェスです。
ちょうど今の時期、11月20日から12月12日までがその開催期間ですが、なんといってもイタリアでも一番美しいといわれているトスカーナ地方で開かれるフェスと言うことでフィレンツェやピサといった都市をまわることとセットで行くことも魅力的な動機づけになるだろうと思います。
トスカーナ地方はミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ダンテ、ガリレオ、ラファエロ、ジョットなどを生んだ土地でもありますね。
2010年の今年は第6回目の開催になります。
アルルやヒューストンと比べると規模こそ小さいのですが、ローマ時代につくられたという城塞都市のなかで写真展の会場をゆっくり歩いてまわれることがなによりも心地いい。街の店はクリスマスのデコレーションが始まり、たんに歩いているだけでもなんだか心がうきうきとしてきます。もちろん、レストランもいろいろとあって簡単なピザからイタリアンディナーまで楽しめます。
オリーブオイル、パルメジャーノ・レッジャーノ、バルサミコなどもすごくリーズナブルな価格で買うことができる店があるので、イタリアの食材に目がない人にも超おすすめな街なのです。この時期は生ポルチーニはもうないけれど、乾燥ポルチーニを買ってくるのもいいです。ポルチーニセッキと言えばすぐに出してくれますよ。ぬるま湯でもどせばすぐにパスタに使えます。泥がついていることも多いのでよく洗ってね、ということです。
ホテルは日本からでもインターネットで予約できるB&Bもあるので城塞の中にあるB&B を予約していくといいでしょう。お値段も50ユーロ台からあるので安心です。ルッカの街の人間は閉鎖的でなく開放的だ、ということをききましたけれど、ぼくの泊まったB&Bのスタッフもすごくフレンドリーでしたね。言ってることがなかなか通じなくて、やっとああそういうこと、ってわかった時などもオー、っと言ってハグしてきたりしてとてもあたたかいです。
この魅力的なフェスはたった3人のスタッフで運営されています。主催者の一人スザンナさんにそもそもの由来をお聞きしたところ、この3人は普段は会議などの運営をしている人たちなんだそうです。ある夜に友だち同士で夕飯を食べているときにルッカでも写真のフェスティバルをやりたいね、という話になりそのときに写真の関係者もいたのでスザンナさん達と力を合わせればできるよ、ということになりなんとその4ヶ月後には第1回目の開催をやってのけた、という話でした。すごい実行力ですね。
ルッカの予算は大体50万ユーロもないそうです。主催者の3人は今のところボランティアでやっているそうですが、学生さんなどがお手伝いをしていて、この人たちにはちゃんとスタッフペイが出るそうです。予算の50%は地方からの援助、30%がスポンサーの援助で、20%が入場料などの収入になっているそうです。
地方行政が援助してくれるのは街のイメージアップにつながる、という事の要素が多いそうです。雑紙、テレビ、新聞などに取り上げられるので街のショーウインドウのような役割をになっているということになるのですね。
実はぼくはイタリアに行くのはこのときが初めてでした。ルッカに行ったあとにフィレンツェにも1日滞在してさっとまわってきましたが、ルッカに滞在したあとだとフィレンツェの街じたいは少々退屈におもいました。それほど、ルッカという街が魅力的だったからでしょう。
ルッカはフィレンツェから電車で1時間あまり。ものすごくお勧めの街とフォトフェスです。
LUCCAdigitalPHOTOfest
B&B Lucca Centro
ルッカの地図。城壁の内部は歩ける距離。
中世につくられた城壁。
リチャード・アベドンの展示場入り口。
アベドンの会場もクラシックな宮殿。
アベドンがファッションと決別したときのニューヨーカーに掲載されたシリーズ作品。細江賢治さんがこのプリントを見た途端に、これはアイリスプリントだと解説してくれました。アイリスプリントは初期のデジタルプリント技術。
ドヴィマと象のオリジナルプリントを見る細江英公氏。
マン・レイ展の会場
マン・レイの暗室。初めて見た貴重な写真。
ジュリエットの肖像
写真展だけでも約20の展示が行われた。イントレのようなセットを用いた魅力的な展示。さすがデザインの国イタリアだ。
ポラロイドでモデルを撮影してその場で作品を仕上げるパフォーマンス。
フォトレクチャーという名称で行われたポートフォリオレビュー。一人25ユーロで何人でも見てもらうことができる。
夕方になると街のあちこちに地元の人が出てきておしゃべりに興じる。
ワールドフォトプレスの会場。街の外から城壁を抜けるトンネルの中での展示。初めて使われた歴史的な場所だそうだ。
サテライト会場。暗室をもした展示でなかなか面白い発想だ。
地元の学生たちが写真を前にディスカッションしていた。
細江英公氏が宿泊されたB&B。地元の名士のお宅だそうで、広大な土地を持っていてワインもつくっていたりとお金持ちの邸宅が宿泊施設にそのままなっている。
ベッドもゴージャス。
ルッカの女学生たち。
城壁からの眺め。
広場にはメリーゴーランドがあってこどもたちが楽しんでいた。
城壁の上は公園になっていて市民の憩いの場所になっている。散歩する人も多い。
フェスティバルの期間、次第に街はクリスマス色が強くなっていく。
2009年はイタリアでは日本ブームだったそうで、アニメ、マンガ、お寿司、空手、剣道、春画などが話題になったそうだ。日本のアートも注目を浴びて草間彌生さんのことが新聞に取り上げられたりしたそうだ。ルッカのショーウインドウにもキティちゃんとかこけしをかたどったキャラクターを見かけた。
カワイイお店もいっぱいあります。古い街にとけこんだ新旧のショップはみているだけで楽しくなること請け合い。女性なら歩いているだけでもう楽しくてしょうがなくなるでしょう。
2010年11月23日火曜日
細江英公 in LUCCAdigitalPHOTOfest 2009
ちょうど1年前のこと、イタリアの小さな街ルッカで行われたLUCCAdigitalPHOTOfestに招待された細江英公氏に同行する機会をいただいて、まだ知名度はないがとても意欲的ですばらしいフォトフェスティバルに接することができた。
なんだかこのブログも1年遅れで掲載する、というとんでもないブログになってきてしまったが、まあ我慢してください。
まず昨年のアサヒカメラ誌の情報欄に掲載したコラムを再度掲載しておきます。僕が文章量を間違えたので、最初に書いた長い方のコラムを掲載します。
「その夜。
エントランスの両側に並べられた蝋燭の光に導かれて、ヴィラ・ボッティーニの中に招きいれられると、そこでは時間と空間が交錯する不思議な宴がくりひろげられていた。
名だたる細江英公の名作『おとこと女』『薔薇刑』『鎌鼬』『胡蝶の夢』『ガウディの宇宙』『きもの』『春本・浮世絵うつし』は染め摺り師・木田俊一の手で和紙へとうつしかえられ、アートディレクター・馬淵晃の意匠をまとった細江英公寫眞絵巻として、赤、青、緑、黒に彩られた壁に10メートルもの長さのままに展示されている。
ヴィラ・ボッティーニの壁と天井には16世紀当時のままのフレスコ画が縦横無尽に色鮮やかに描かれている。
土方巽や大野一雄、三島由紀夫の硬質な肉体は、ルネッサンス期のふくよかな裸体と溶けあい、絵巻の意匠に使われた古着物の柄が黄金色の天井の装飾とからみあっている。
集まったイタリアの名士たちはふるまわれたシャンパンに酔うまでもなく、この贅沢なエロスとタナトスの饗宴の香気にむせかえる。
現代のデジタルテクノロジーがマエストロ達の魂と結びつく時、リニアな時間と空間は揺らぎだし、なまなましく、なまめかしくもイメージ本来の力が主張を再び始める。
5回目を迎えたルッカデジタルフォトフェストのメインゲストに招かれた細江英公はこの16世紀のヴィラでの展示の話を受けたときに、現代のデジタルプリント技術と16世紀の建物のコラボレーションに胸をおどらせたという。
ルッカデジタルフォトフェストはたった3人の手によって運営されている規模は小さいが野心的なフォトフェスティバルだ。わざわざデジタルという冠をつけたのも他のフォトフェスティバルとは一線を画す新しいファインアートの場所を写真家に提供したいという思いからなのだそうだ。
21世紀にはいり、写真もコンテンポラリーアートの一角に確実に座を占めてきて写真家達の生み出す作品も大きく変わってきているのが世界的な傾向だが、イタリアではどちらかというと写真と言えばフォトルポルタージュが主流なのだそうだ。このフェスティバルでも最初の4年は観客にわかりやすいエリオット・アーウィットなどの作品を取り上げてきていたのだが、細江英公がメインゲストの今年から本来の趣旨に添うフォトフェスティバルとしての飛躍を期している。
トスカーナ地方はイタリアの中でももっとも美しい地方として全世界の人々からも愛されている場所だ。ルッカはフィレンツェとピサの間にあり、城塞都市の面影を今も色濃く残す美しい街である。
今年は周囲を城壁で取り囲まれた旧市街の7つの場所に展示スペースがもうけられた。リチャード・アベドンのアイリスプリントによるカラー作品『故コンフォート夫妻の思い出』、マン・レイの『15のジュリエットの顔』、アーネスト・バザン、クロード・ノーリ、アレックス・マジョリ、ジャコモ・コスタなどの作品が展示された。ワールド・プレス・フォト09の展示場所は城壁の中と外をつなぐ洞窟の中にあり、散漫になりがちなグループの展示を強い印象のものに変えることに成功していた。この洞窟も、ヴィラ・ボッティーニも普段は公開されていない場所なのだそうである。
他にもヴィデオを使ったインスタレーションの展示、ポートフォリオレビュー、フォトカフェとなづけられた写真談義のセッション、ポラロイドで撮影しながらその場で作品を仕上げていくところを見せるパフォーマンスなど意欲的な取り組みが各所に見られた。
街を囲む城壁は今では緑におおわれた散歩道として街の人々に利用されている。城壁に立ってみると周囲の緑が美しく目に映える。旧市街は石畳に覆われていて、会場となる展示場所から次の展示場所まで歩いてもそう遠くではない。むしろ、旧市街の古い街並みの中のおしゃれなブティックやカフェをのぞいたり、ローマ時代から中世までの建物をしげしげとみつめているうちに時のたつのを忘れてしまうだろう。小さな川も流れていて目をこらせば鱒がいっぱい泳いでいる。
アルルのフォトフェスティバルが、古代ローマ遺跡のアンチックシアターをスライドショー会場にしつらえたりして古い街並みの中での展示をドラマチックに演出しているのと考え方は同じであるが、アルルはひとつの会場から他の会場までが案外遠い。その点このルッカの街のコンパクトなところがとてもうまく生かされている。
参加した写真家達へのアワードの授賞式はオペラ劇場で催され、各作家の作品がスライドショーで上映された。細江英公はイタリアの写真評論家ジュリアーナ・チメーとともに登壇し、スクリーンに映し出された巨大な自作の前でパントマイムのようなパフォーマンスを面白おかしく繰り広げて観客に大受けしていた。アルルでもデュアン・マイケルズがスライドショーに登場したときにムーンウォークまがいのパフォーマンスで観客を沸かせていたが、70歳を超える写真界の巨匠達の意気軒昂さとお茶目ぶりは若い世代にもいい刺激となるだろう。」
LUCCAdigitalPHOTOfest website
和紙でつくられた絵巻を展示する作業は予想以上に大変だったそうだ。
数々の舞踏家とコラボレーションしてきた細江英公氏は作品の質問を受けるとすぐさまダンスとともに解説が始まる。
規模は小さいがすばらしいオペラ劇場での授賞式。
自作のプロジェクションが始まるとスクリーンの間に入ってシルエット姿でダンスをする細江氏。
細江氏の家族はイタリアにもねづいていて甥御さんのご子息は日伊のハーフ。
フォトフェスト総合案内所まえの巨大な垂れ幕の前で。
なんだかこのブログも1年遅れで掲載する、というとんでもないブログになってきてしまったが、まあ我慢してください。
まず昨年のアサヒカメラ誌の情報欄に掲載したコラムを再度掲載しておきます。僕が文章量を間違えたので、最初に書いた長い方のコラムを掲載します。
「その夜。
エントランスの両側に並べられた蝋燭の光に導かれて、ヴィラ・ボッティーニの中に招きいれられると、そこでは時間と空間が交錯する不思議な宴がくりひろげられていた。
名だたる細江英公の名作『おとこと女』『薔薇刑』『鎌鼬』『胡蝶の夢』『ガウディの宇宙』『きもの』『春本・浮世絵うつし』は染め摺り師・木田俊一の手で和紙へとうつしかえられ、アートディレクター・馬淵晃の意匠をまとった細江英公寫眞絵巻として、赤、青、緑、黒に彩られた壁に10メートルもの長さのままに展示されている。
ヴィラ・ボッティーニの壁と天井には16世紀当時のままのフレスコ画が縦横無尽に色鮮やかに描かれている。
土方巽や大野一雄、三島由紀夫の硬質な肉体は、ルネッサンス期のふくよかな裸体と溶けあい、絵巻の意匠に使われた古着物の柄が黄金色の天井の装飾とからみあっている。
集まったイタリアの名士たちはふるまわれたシャンパンに酔うまでもなく、この贅沢なエロスとタナトスの饗宴の香気にむせかえる。
現代のデジタルテクノロジーがマエストロ達の魂と結びつく時、リニアな時間と空間は揺らぎだし、なまなましく、なまめかしくもイメージ本来の力が主張を再び始める。
5回目を迎えたルッカデジタルフォトフェストのメインゲストに招かれた細江英公はこの16世紀のヴィラでの展示の話を受けたときに、現代のデジタルプリント技術と16世紀の建物のコラボレーションに胸をおどらせたという。
ルッカデジタルフォトフェストはたった3人の手によって運営されている規模は小さいが野心的なフォトフェスティバルだ。わざわざデジタルという冠をつけたのも他のフォトフェスティバルとは一線を画す新しいファインアートの場所を写真家に提供したいという思いからなのだそうだ。
21世紀にはいり、写真もコンテンポラリーアートの一角に確実に座を占めてきて写真家達の生み出す作品も大きく変わってきているのが世界的な傾向だが、イタリアではどちらかというと写真と言えばフォトルポルタージュが主流なのだそうだ。このフェスティバルでも最初の4年は観客にわかりやすいエリオット・アーウィットなどの作品を取り上げてきていたのだが、細江英公がメインゲストの今年から本来の趣旨に添うフォトフェスティバルとしての飛躍を期している。
トスカーナ地方はイタリアの中でももっとも美しい地方として全世界の人々からも愛されている場所だ。ルッカはフィレンツェとピサの間にあり、城塞都市の面影を今も色濃く残す美しい街である。
今年は周囲を城壁で取り囲まれた旧市街の7つの場所に展示スペースがもうけられた。リチャード・アベドンのアイリスプリントによるカラー作品『故コンフォート夫妻の思い出』、マン・レイの『15のジュリエットの顔』、アーネスト・バザン、クロード・ノーリ、アレックス・マジョリ、ジャコモ・コスタなどの作品が展示された。ワールド・プレス・フォト09の展示場所は城壁の中と外をつなぐ洞窟の中にあり、散漫になりがちなグループの展示を強い印象のものに変えることに成功していた。この洞窟も、ヴィラ・ボッティーニも普段は公開されていない場所なのだそうである。
他にもヴィデオを使ったインスタレーションの展示、ポートフォリオレビュー、フォトカフェとなづけられた写真談義のセッション、ポラロイドで撮影しながらその場で作品を仕上げていくところを見せるパフォーマンスなど意欲的な取り組みが各所に見られた。
街を囲む城壁は今では緑におおわれた散歩道として街の人々に利用されている。城壁に立ってみると周囲の緑が美しく目に映える。旧市街は石畳に覆われていて、会場となる展示場所から次の展示場所まで歩いてもそう遠くではない。むしろ、旧市街の古い街並みの中のおしゃれなブティックやカフェをのぞいたり、ローマ時代から中世までの建物をしげしげとみつめているうちに時のたつのを忘れてしまうだろう。小さな川も流れていて目をこらせば鱒がいっぱい泳いでいる。
アルルのフォトフェスティバルが、古代ローマ遺跡のアンチックシアターをスライドショー会場にしつらえたりして古い街並みの中での展示をドラマチックに演出しているのと考え方は同じであるが、アルルはひとつの会場から他の会場までが案外遠い。その点このルッカの街のコンパクトなところがとてもうまく生かされている。
参加した写真家達へのアワードの授賞式はオペラ劇場で催され、各作家の作品がスライドショーで上映された。細江英公はイタリアの写真評論家ジュリアーナ・チメーとともに登壇し、スクリーンに映し出された巨大な自作の前でパントマイムのようなパフォーマンスを面白おかしく繰り広げて観客に大受けしていた。アルルでもデュアン・マイケルズがスライドショーに登場したときにムーンウォークまがいのパフォーマンスで観客を沸かせていたが、70歳を超える写真界の巨匠達の意気軒昂さとお茶目ぶりは若い世代にもいい刺激となるだろう。」
LUCCAdigitalPHOTOfest website
和紙でつくられた絵巻を展示する作業は予想以上に大変だったそうだ。
数々の舞踏家とコラボレーションしてきた細江英公氏は作品の質問を受けるとすぐさまダンスとともに解説が始まる。
規模は小さいがすばらしいオペラ劇場での授賞式。
自作のプロジェクションが始まるとスクリーンの間に入ってシルエット姿でダンスをする細江氏。
細江氏の家族はイタリアにもねづいていて甥御さんのご子息は日伊のハーフ。
フォトフェスト総合案内所まえの巨大な垂れ幕の前で。
2010年11月8日月曜日
Lenscratch オンライングループ展エントリーコール
いつもすごい勢いで更新されていくアリーン・スミスソンさんのブログLenscratchですが、今度は新しい試みとしてオンライングルーブ展が開催されることになりました。
どんなことになるのかおもしろそうじゃないですか。日本からもどんどん応募してみませんか。
以下お知らせ内容。
1回のテーマに対して写真家は1回のエントリーをすることができます。そしてエントリーされたすべての写真が掲載されます。
応募のカテゴリーと締め切り日は以下のとおり。
11月14日締め切り分
「FAMILY」というテーマです。あなたが考える家族ということに対するアイディアをひとつ応募してください。感謝祭の時期に掲載。下にあるのはアリーンのイメージアイディアです。
12月27日締め切り分
「your FAVORITE」2010年に撮影したあなたのお気に入りの写真を1カット。新年に掲載。
3月17日締め切り分
「LUCK」というテーマで応募してください。セントパトリックディに掲載。
4月25日締め切り分
「SELF PORTRAIT」お気に入りのセルフポートレートを応募してください。5月1日掲載。
応募規定
イメージサイズ:72dpi で長辺1000 ピクセル
名前・タイトル・場所・あなたのウェブサイトなどへのリンク
メールで応募してください。そこにグループ展のテーマ名を銘記してください。( FAMILYなど)
メールの送り先:alinesmithson@yahoo.com
イメージサイズや応募の仕方が完全でない場合は掲載できません。
Lenscratch Exhibition Oppotunities
どんなことになるのかおもしろそうじゃないですか。日本からもどんどん応募してみませんか。
以下お知らせ内容。
1回のテーマに対して写真家は1回のエントリーをすることができます。そしてエントリーされたすべての写真が掲載されます。
応募のカテゴリーと締め切り日は以下のとおり。
11月14日締め切り分
「FAMILY」というテーマです。あなたが考える家族ということに対するアイディアをひとつ応募してください。感謝祭の時期に掲載。下にあるのはアリーンのイメージアイディアです。
12月27日締め切り分
「your FAVORITE」2010年に撮影したあなたのお気に入りの写真を1カット。新年に掲載。
3月17日締め切り分
「LUCK」というテーマで応募してください。セントパトリックディに掲載。
4月25日締め切り分
「SELF PORTRAIT」お気に入りのセルフポートレートを応募してください。5月1日掲載。
応募規定
イメージサイズ:72dpi で長辺1000 ピクセル
名前・タイトル・場所・あなたのウェブサイトなどへのリンク
メールで応募してください。そこにグループ展のテーマ名を銘記してください。( FAMILYなど)
メールの送り先:alinesmithson@yahoo.com
イメージサイズや応募の仕方が完全でない場合は掲載できません。
Lenscratch Exhibition Oppotunities
2010年10月28日木曜日
Critical Mass Top 50
「コマーシャルフォト」誌11月号の特集「海外写真コンペに応募しよう」にも僕のインタビュー記事が掲載されていますが、大和田良さんや池谷友秀さんら、若い写真家の眼はどんどん海外のフォトマーケットにむけられてきているようです。
PX3やipaはアドバタイジング部門やアーキテクチャー部門などがあって、総花的なコンペですが、ちょっと毛色のかわったのがCritical Massです。このコンペを知るきっかけになったのが、昨年のレビュー・サンタフェに参加する前におうかがいしていろいろとお話を伺った渡邊博史さんがこのCritical MassのTop 50になり、写真集を出版したということを知ったからでした。
ファーストプライズなどを設定するのではなく、ファイナリスト175名の作品を世界のキュレーターやギャラリスト約200名が審査することによってネットを通じたポートフォリオレビューになっているところがこのコンペの味噌なのです。
応募される作品も非常にアメリカ的な作品が多いので最初はとても違和感を感じていたコンペでした。
今日はとてもいいニュースをお知らせします。このCritical Mass Top 50の発表が今日あり、日本から応募された保坂昇寿さんがみごとランキングされました。おそらく日本在住の写真家でランキングされたのは初めてのことと思います。おめでとうございます。
保坂さんも僕のブログをご覧になられていたそうで、このような結果がでてきたこと、僕もとてもうれしいです。
ぜひ保坂さんに続く日本の写真家が続々と現れることを期待したいです。海外のギャラリーと契約する日本在住の写真家やコンペなどで活躍する写真家がでてくるのがまず第一歩ですが、問題はその次です。
世界のフォトマーケットで日本の写真、写真家の考え方がきちんと理解されること、日本ブランドが世界のフォトマーケットできちんとした位置をしめていくことがさらにそのあとの課題です。そのためには世界に足がかりをつかんだ写真家がきちんと世界のフォトマーケットと継続的につきあっていくことが何よりも大切になると思っています。
Critical Mass Top 50 2010
今年は549名の写真家が応募し、20人のプレスクリーナーが177名のファイナリストをセレクト。さらに215名の審査員の投票により50名のTop 50 が選ばれたそうです。50番目と51番目の差はわずか0.005ポイント、177番目と178番目の差はわずか0.05ポイントだそうです。
保坂さんは20番目にランキングされています。スーザン・スピリタスさんに聞いたところでは3回位のスクリーニングがあって、Wao!かそうでないかを選ぶようになっているそうです。僕も大好きな写真家Cara BarerさんがTop50になったときにスーザンさんは3回ともWao!に投票したのよ、と言ってました。
PX3やipaはアドバタイジング部門やアーキテクチャー部門などがあって、総花的なコンペですが、ちょっと毛色のかわったのがCritical Massです。このコンペを知るきっかけになったのが、昨年のレビュー・サンタフェに参加する前におうかがいしていろいろとお話を伺った渡邊博史さんがこのCritical MassのTop 50になり、写真集を出版したということを知ったからでした。
ファーストプライズなどを設定するのではなく、ファイナリスト175名の作品を世界のキュレーターやギャラリスト約200名が審査することによってネットを通じたポートフォリオレビューになっているところがこのコンペの味噌なのです。
応募される作品も非常にアメリカ的な作品が多いので最初はとても違和感を感じていたコンペでした。
今日はとてもいいニュースをお知らせします。このCritical Mass Top 50の発表が今日あり、日本から応募された保坂昇寿さんがみごとランキングされました。おそらく日本在住の写真家でランキングされたのは初めてのことと思います。おめでとうございます。
保坂さんも僕のブログをご覧になられていたそうで、このような結果がでてきたこと、僕もとてもうれしいです。
ぜひ保坂さんに続く日本の写真家が続々と現れることを期待したいです。海外のギャラリーと契約する日本在住の写真家やコンペなどで活躍する写真家がでてくるのがまず第一歩ですが、問題はその次です。
世界のフォトマーケットで日本の写真、写真家の考え方がきちんと理解されること、日本ブランドが世界のフォトマーケットできちんとした位置をしめていくことがさらにそのあとの課題です。そのためには世界に足がかりをつかんだ写真家がきちんと世界のフォトマーケットと継続的につきあっていくことが何よりも大切になると思っています。
Critical Mass Top 50 2010
今年は549名の写真家が応募し、20人のプレスクリーナーが177名のファイナリストをセレクト。さらに215名の審査員の投票により50名のTop 50 が選ばれたそうです。50番目と51番目の差はわずか0.005ポイント、177番目と178番目の差はわずか0.05ポイントだそうです。
保坂さんは20番目にランキングされています。スーザン・スピリタスさんに聞いたところでは3回位のスクリーニングがあって、Wao!かそうでないかを選ぶようになっているそうです。僕も大好きな写真家Cara BarerさんがTop50になったときにスーザンさんは3回ともWao!に投票したのよ、と言ってました。
「アメリカのフォトマーケット」トークショーのお知らせ
10月初旬、すでに肌寒いニューヨークに行ってきました。よく考えたら実に12年ぶりのニューヨーク。
投宿したイーストヴィレッジ付近も以前とはかなり変わっていて、カフェ、バー、レストラン、デリ、スーパーマーケットなどがわんさかあって、以前のブリーカーストリートのようにとても便利でにぎわっているエリアになっていました。
サザビーズでのジョージ・イーストマン・ハウスのオークションもとても面白い体験でしたし、50件以上もあるニューヨークのフォトギャラリーをいくつかまわりながら、写真の値段についても考えるところが多かったです。
余裕の日程だと思っていたのですが、さすがニューヨーク。時間が全然足りず、これはまた来なければなぁ、と後ろ髪をひかれる思いで帰国しました。
小林美香さんにご紹介いただいた須々田美和さんという方がSwan Auction Galleryで研修中で、大変気を利かせていただいて、副社長で写真部長のデール・カプランさんにインタビューする時間を手配していただいたのも大きな成果でした。
11月6日に五味彬さんの写真展会場で、ニューヨークでの見聞やウェストコーストでの取材をまじえてお話しさせていただきます。
永田陽一トークショー「アメリカのフォトマーケットについて」
ニューヨークのフォトギャラリー、オークションの報告を中心に写真の値段やエディション、プリントの買われていく現場など写真家や写真愛好家にとって気になるお話をしようと思っています。聞き手として五味彬さんが参加してくださいます。ぜひご来場くださいますようお願いします。
日時:11月6日(土) 17:00~19:00 /開場16:30
会場:ギャラリーコスモス
定員:20名
参加費:1500円
予約制:予約フォームからお申し込みください。
詳細:[http://t.co/z1kOs8i
予約フォーム:[http://akiragomi.net/semi_mfp/regi2.htm]
場所:[http://www.gallerycosmos.com/newpage4.html]
また会場を提供してくださる五味彬さんの写真展もあわせてぜひご来場ください。
五味彬写真展
「RECYCLE//」
〜80年代に撮った写真ポラ、フィルム、プリントをデジタル処理した作品〜
11月2日(火)〜11月7日(日)11:00〜18:30 ギャラリーコスモス
[http://www.gallerycosmos.com/index.html]
投宿したイーストヴィレッジ付近も以前とはかなり変わっていて、カフェ、バー、レストラン、デリ、スーパーマーケットなどがわんさかあって、以前のブリーカーストリートのようにとても便利でにぎわっているエリアになっていました。
サザビーズでのジョージ・イーストマン・ハウスのオークションもとても面白い体験でしたし、50件以上もあるニューヨークのフォトギャラリーをいくつかまわりながら、写真の値段についても考えるところが多かったです。
余裕の日程だと思っていたのですが、さすがニューヨーク。時間が全然足りず、これはまた来なければなぁ、と後ろ髪をひかれる思いで帰国しました。
小林美香さんにご紹介いただいた須々田美和さんという方がSwan Auction Galleryで研修中で、大変気を利かせていただいて、副社長で写真部長のデール・カプランさんにインタビューする時間を手配していただいたのも大きな成果でした。
11月6日に五味彬さんの写真展会場で、ニューヨークでの見聞やウェストコーストでの取材をまじえてお話しさせていただきます。
永田陽一トークショー「アメリカのフォトマーケットについて」
ニューヨークのフォトギャラリー、オークションの報告を中心に写真の値段やエディション、プリントの買われていく現場など写真家や写真愛好家にとって気になるお話をしようと思っています。聞き手として五味彬さんが参加してくださいます。ぜひご来場くださいますようお願いします。
日時:11月6日(土) 17:00~19:00 /開場16:30
会場:ギャラリーコスモス
定員:20名
参加費:1500円
予約制:予約フォームからお申し込みください。
詳細:[http://t.co/z1kOs8i
予約フォーム:[http://akiragomi.net/semi_mfp/regi2.htm]
場所:[http://www.gallerycosmos.com/newpage4.html]
また会場を提供してくださる五味彬さんの写真展もあわせてぜひご来場ください。
五味彬写真展
「RECYCLE//」
〜80年代に撮った写真ポラ、フィルム、プリントをデジタル処理した作品〜
11月2日(火)〜11月7日(日)11:00〜18:30 ギャラリーコスモス
[http://www.gallerycosmos.com/index.html]
登録:
投稿 (Atom)