2010年9月15日水曜日

Donationという文化

YPFスライドショー「ポートフォリオレビューの仲間たち」に参加してもらったJonathan Blausteinから写真展のお知らせのメールが来た。そのお知らせの中に、collect.giveというサイトでチャリティ用のプリントセールスをすると言うくだりがあって、なんだろう、と覗いてみた。

このサイトでは、何名かの写真家が8X10サイズくらいの限定部数の写真を販売していて、その売り上げをそれぞれの写真家が自分の写真のテーマや関心のあるテーマにそって売上金を寄付する、というものなのだ。
Jonathanの他にも、「ポートフォリオレビューの仲間たち」に参加してもらったSonja ThomsenやElizabeth Flemingの名前もある。1点40ドルくらいが多いので、気楽に購入できる。さっそくElizabethとJonathanのプリントの購入手続きをした。Sonjaはすでに売り切れていた。すごいじゃないですか。

昨日、Elizabethからプリントが送られてきた。プリントの裏面には限定4/20とあってTo Benefit  Austin Children Centerとある。彼女は二人のこどもの母親だから、児童関連のチャリティをしよう、というわけだろう。

collect.giveのサイトはレビュー・サンタフェに参加したKevin Miyazakiがオーガナイズした、とある。写真家がこのようなサイトを立ち上げて、それに参加する写真家も多数いるというところがアメリカらしい。

日本でやったらどうだろう、ただでさえプリントも売りにくい環境なのだから、うまくいくだろうか。

こうした寄付の文化は欧米ではごくあたりまえなのだろう。企業レベルでも社会貢献の度合いはその企業の倫理感をはかるものさしにもなっている。いいことだ。
もちろん、ほんとは一昔前の日本のように助け合いの文化があれば、お金の尺度をもって寄付の文化をあえてつくりだす必要はないのかもしれない。


10月4日にニューヨークのサザビーズで開かれるジョージ・イーストマン・ハウスのベネフィットオークションに僕とセリーンの作品も出品する。ただしわれわれのはライブ・オークションじゃなくてインターネットオークションになるらしい。
これはスーザン・スピリタス・ギャラリーからお声がかかったので参加することになった。

10月4日の午後7時からがライブオークション。プレビューは10月1日から4日までの昼間に行われる。オンラインオークションは9月27日から10月7日まで。心ある方はぜひ競り落としてくださいな。

予算がないない、といわれている東京都写真美術館なんかでもこうしたオークションができるといいと思いませんか。つきあいのある写真家に声をかけて作品を提供していただく。そしてその売り上げを無名の新人写真家の作品をコレクションするための予算にする、なんてのはステキだと思います。

collect.giveのウェブサイト

Kevin Miyazakiのウェブサイト

ジョージ・イーストマン・ハウスのオークション

collect.giveのサイト。
Elizabeth Flemingから送られてきたプリント。
プリントの裏にはエディション番号と寄付先が書いてある。
ジョージ・イーストマン・ハウスから送られてきたオークションに出すプリントの受け取りの書類
ジョージ・イーストマン・ハウスのオークションサイト

Critical Mass、ipa

Photolucidaが主宰するCritical Mass というコンペがある。

昨年レビュー・サンタフェに参加した際に渡邉博史さんがこのCritical Massでも賞を取って、写真集を出版できた、と言うお話も聞いていたので気になっていたコンペのひとつだった。レビューサンタフェに参加した写真家もこのコンペをよく知っているのか、多数の参加者が応募している。

Critical Massの特徴は最初に何名かの審査員によるプレスクリーニングが行われ、175名のファイナリストが選ばれる。この175名のファイナリストは全世界200人くらいのキュレーターやギャラリストなどファインアートフォトマーケットの人たちにそのポートフォリオを見てもらうことができる。まずこれが最初の特典だそうだ。
その後200人のマーケットの人たちの評価によってTop50 が選出されて、この50人の作品はPhotolucidaのウェブに掲載されることになる。
さらにブックアワードなどがあるようだ。

昨年も応募してみたのだが、全然ひっかからなかった。レビューサンタフェでも強く感じたことだが、アメリカはストレートフォトが基本の国なので、僕の福福星シリーズはあまり受けないように思えた。
同じ作品の応募はできないという規定もあったりで、今年は出す気はなかったのだが、Deadlineのお知らせメールがきた時に、福福星シリーズはほぼ毎月撮影していて新しい写真があるので、まあ新しいラインアップにして応募しておこうかな、というくらいの軽い気持ちで応募しておいた。

ところが今年はなぜか、ファイナリストになることができたのだ。
う〜ん、不思議だ。YPFオープンポートフォリオレビューに参加していただいた保坂昇寿(Norihisa Hosaka)さんも今年のファイナリストに選ばれた、とお知らせをいただいた。

う、う〜ん、そうか、もしかしたら・・・。

保坂さんの作品もポスプロがはいった東京のランドスケープ。もしかすると、日本からこうした作品が応募されることによって審査員の眼が少しずつ変わっていくのかもしれないぞ。今まではストレートフォトが断然良く思えていたのに、ちょっとずつこんなのもありかも、という気持ちが審査員に芽生えてきた?

そうだよね。僕たちもいままでと全く違うセンスの音楽がでてきたりすると、最初はなんじゃ、これ?っていうかんじがするものだけれども、そのうちになれてきて、こういうかんじの音楽って今っぽいじゃん、ていうことになっていく。

もし、そんなことがあるとしたら、これは日本の写真家にとってチャンスだ。海外のコンペにどんどん応募して、欧米の審査員の眼と意識を変えていけばいいのだ。最初はひっかからなくても、毎年応募していくとなにかが変わる可能性があるかもしれない。

円高だし、日本の写真家にチャンス到来なのかもしれないぞ。


Photolucida ウェブサイト


Critical Mass 2009 Top 50

今年のファイナリストの発表のブログと200人のJuror


保坂昇寿さんのウェブサイト



Critical Massのウェブサイト
昨年まで知らなかったipaにも今年は応募してみた。PX3のアメリカ版。
プライズはとれなかったが、5つの部門でHonorable Mentionを獲得。Facebookの記載によれば、今年は103カ国からの応募があり、15000件のエントリーがあったそうだ。そのうちの330人がHonorable Mentionを獲得し、21人がファイナリストになったそうだ。さらに、International Photographer of the Year, Discovery of the Year , the Deeper Perspective Photographer of the Year が選出されるそうだ。

Planet Earth グループショー

Art & Science Collaborations, Inc.略してASCIという組織がアメリカにある。

昨年の6月のレビュー・サンタフェでマリー・ヴァージニア・スワンソンさんが僕のSkyEarth シリーズを見て、こういう組織があるのよ、という事で教えてくれたところだ。 ここの会員になるといいんじゃない、誰でもなれるから、そしてあなたの写真の観客の層を広げるために役立つかもしれない、というアドバイスであった。

日本に帰ってから早速会員になった。会員になるとこの組織のイベントなどのお知らせがメールで届く。

ASCIでは、毎年その年のテーマを設定して、International Digital Print Exhibitionというコンペ形式の展覧会をやっている。今年は12回目だそうだ。
Planet Earthというテーマなので、SkyEarthシリーズで応募してみた。5点の応募でエントリーフィーは40ドル。円高の今年はちょっとお得だ。

8月後半には、Congratulations! Yoichi~ という書き出しで始まるメールがきて、Exhibitionに3点の作品を出品できることになった。
場所はthe New York Hall of Scienceという、日本で言えば科学博物館のようなところでおこなわれる。会期は長くて10月3日から来年の1月末まで。その後は巡回展にしようとしているらしく、会場になる候補を募集しているようだ。ぜひ日本でも名乗りをあげる美術館があるといいと思う。

ファインアートフォトの世界とは少し違うフィールドの展覧会なのだが、ニューヨークで開かれると言うことで、NYにたくさんある写真のギャラリーの様子なども見たいし、ジョージ・イーストマン・ハウスのオークションがサザビーズである、というイベントも重なっているので久しぶりにニューヨークに行く予定にしている。


ASCIウェブサイト

Online Exhibition

ASCI ウェブサイト
オンラインエクシビションのページもある。
参加するアーティストにはお知らせ用のはがきが25枚届く。