2009年4月25日土曜日

ルシアン・クレルク

都写美でやなぎみわの写真展を見たついでに、4階の図書館にたちよる。

アルル国際写真フェスティバル(RENCONTRES D’ARLES PHOTOGRAPHIE)の創始者ルシアン・クレルクの写真集があるかもしれない、と思ったからだ。
調べたら、ありました。
結構10冊以上もある。今までルシアン・クレルクという写真家に全く興味がなかったので、なんとなくヌードを撮る人と思っていたのだが、これは大間違いの認識であった。

「Eros and Thanatos」「Footprints of the Gods」といった写真集のタイトルにまず眼がひきつけられる。

砂浜に打ち上げられた猫や鳥もうなんだったかわからなくなってしまった動物の屍体。
豊饒な肉体を持った女性のヌードは顔が特定できない部分をうつしだしたものでたいがい海の中につかっていて水とのからみで描写されている。
闘牛、ジプシー、そしてジャン・コクトーやピカソのポートレート。
きわめつけは、アメリカ、ポイントロボスの不思議な大地の模様をうつしとった写真集「Footprints of the Gods」だ。この写真集は宝島の著者スチーブンソンとエドワード・ウェストン、ウイン・バロック、アンセル・アダムスへのオマージュになっている。

ルシアン・クレルクの写真集を見ていると、20代の頃にアンドレ・ブルトンやシュールレアリスムの画家たちにひきつけられていた頃のことが思い出された。
素朴な表現の写真なんだけれど、イメージの根源を探求していこうという心がすごくストレートにあらわれている。天地創造のあらあらしいエネルギーに思いをはせていたことが如実に伝わってくる。

年代記をみると1934年8月14日にアルルで生まれたとある。

そして RENCONTRES D’ARLES PHOTOGRAPHIE のディレクターをしたのが1970年。
2009年の今年はRENCONTRES D’ARLES PHOTOGRAPHIE の40回目。

そうなのだ。ルシアン・クレルクはRENCONTRES D’ARLES PHOTOGRAPHIE の創始者だったのだ。

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