40周年にあたっての展示のコンセプトは今までにアルルに参加した写真家を網羅しようということだったようだ。ナン・ゴールディンやデュアン・マイケルズ、ベルナール・フォーコン、ウィリー・ロニス、畠山直哉、サラ・ムーンなどが市のあちらこちらに贅沢なまでに広い会場で展示されていた。
メインゲストにフィーチャーされたナン・ゴールディンはスライドショーの他にも彼女のプライベート・コレクションの展示、彼女が推薦する14名の写真家の展示など多彩な展示となっていた。
この他の展示として重要なのはディスカバリーアワードというマーティン・パーやクリスチャン・ラクロワといった人たちが推薦してノミネートされる世界各地の新人写真家の展示。
昨年は、上海のYang YongLiang(上海M50区のOfoto 所属の写真家)やシンガポールのSean Leeといったアジアの写真家もノミネートされていた。Sean Leeさんとは実はアルルに行くときのTGVで一緒の列車に乗っていたのだが、短パンにサンダルといういでたちで写真家とは思わなかった。
ホテルが一緒だったので、ノミネートされた作家だということがわかったのだ。彼はカンボジアのフォトフェスティバルに出品したことがきっかけでノミネートされたという。ふだんは広告やファッションの写真を撮影しているそうだが、出品されたのは彼自身が女性に扮して自分の二つのアイデンティティの間を浮遊するというテーマ。見かけるたびに飄々とお気楽そうにアルルの街をぶらぶらしていて、この後はヨーロッパを旅するんだ、といっていた。東京にはゲイバーはあるのか、と質問があったのでひょっとしたらそのうちに日本にもやってくるかもしれない。
昨年のディスカバリーアワードで最高賞になったのは、マーティン・パーが推薦したリトアニアの写真家Rimaldas Viksraitisだった。自分の住む小さな村の出来事を追った作品で村人達が裸で飲んだくれていたり、家畜と戯れていたりする小さな共同体の日常の出来事を写しとったもの。マーティン・パーは僕もこんな村に住みたい、と感想を述べたが、成熟しきったヨーロッパの個人主義の世界がもう息苦しくなってどうしようもなくなってきたことの反動かもしれない。
ウィリー・ロニスの展示風景
構図をびしっと決めているところ、女性のヌードにウィットがあるところがオシャレ。
会場に現れたウィリー・ロニス。99歳の誕生日をお祝いする風景。残念ながらその後お亡くなりになった。
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