マンジャリ・シャルマは、ムンバイのS.V.T. 大学のビジュアル・コミュニケーション学部で学位を取得。2004年にメディア・スタディーズで美術学士課程修了、コロンバス・アート&デザイン大学で写真学を学んだ。新しいシリーズは「アナスタシア」。彼女の作品はどれも色っぽく、このシリーズも例外ではない。「アナスタシア」は、カラーで撮影されており、扮装をしたり、意味深なしぐさを捉えたもの。作品からは、白昼夢と現実の二つのリアリティーを行ったり来たりするような不思議さが感じられる。
アナスタシアのステートメント:私がやって来た町は、美しさと孤独の二つのものが響き合うような場所だった。ニューヨークに住み、そこでアナスタシアに出会った。彼女は、一年余り前の作品シリーズの主人公である。アナは外国からやって来た、私も同じく、海外からアメリカへやって来た。豊かで派手な都会の生活に憧れてやって来た私たちの心は、完全に打ち砕かれた。
アナスタシアと共に、ここに住み始めてから、すでに5、6年になるが、大都会には期待したような華やかな生活はなく、あるのは孤独だということがわかってきた。出身がアメリカ中西部であろうが、インドであろうが、淋しさは、誰にとっても淋しさであることに変わりはない。このプロジェクトで、私はアナスタシアの私生活を断片的に追いながら、フィクション・ライターとして、彼女を客観的に見ることにした。
社会に馴染めなかったり、社会の中で孤独感を感じたりするという経験を、誰でもがするのだというのは強く感じる。たとえ、ぎゅうぎゅう詰めの地下鉄の中でさえ、孤独を感じることがある。でも、都会の喧噪や会社での仕事にまぎれていると、寂しさを感じることさえ、忘れてしまいそうだ。今回のシリーズでは、陰気で、寂しがり屋なのに、時としてエキゾチックで華やかで陽気な面を見せたりする、人間の理解しがたい複雑さを捉えるべく、私たち誰もが持っているかもしれない、秘密の花園を追いかけてみた。
(翻訳:若林泰子)