2012年8月2日木曜日

Lenscratch マンジャリ・シャルマ

インド出身のフォトグラファー、マンジャリ・シャルマが、2011年1月8日から2月12日までロサンゼルスのコペイキン・ギャラリーで写真展を開催する。マンジャリは、2月12日にムンバイから出発、クロージングに参加をする。また、このクロージングでは、インド料理が振る舞われる。是非、ご参加ください!コペイキン・ギャラリーでの展示作品は、彼女の「シャワー」というプロジェクトからのもので、彼女が現在住んでいるニューヨークの自宅のシャワールームで撮られたシリーズ、そして、「ウォーター」というプロジェクトは、ブラジルのエメラルド海岸で撮影されたものである。


マンジャリ・シャルマは、ムンバイのS.V.T. 大学のビジュアル・コミュニケーション学部で学位を取得。2004年にメディア・スタディーズで美術学士課程修了、コロンバス・アート&デザイン大学で写真学を学んだ。新しいシリーズは「アナスタシア」。彼女の作品はどれも色っぽく、このシリーズも例外ではない。「アナスタシア」は、カラーで撮影されており、扮装をしたり、意味深なしぐさを捉えたもの。作品からは、白昼夢と現実の二つのリアリティーを行ったり来たりするような不思議さが感じられる。

アナスタシアのステートメント:私がやって来た町は、美しさと孤独の二つのものが響き合うような場所だった。ニューヨークに住み、そこでアナスタシアに出会った。彼女は、一年余り前の作品シリーズの主人公である。アナは外国からやって来た、私も同じく、海外からアメリカへやって来た。豊かで派手な都会の生活に憧れてやって来た私たちの心は、完全に打ち砕かれた。


アナスタシアと共に、ここに住み始めてから、すでに5、6年になるが、大都会には期待したような華やかな生活はなく、あるのは孤独だということがわかってきた。出身がアメリカ中西部であろうが、インドであろうが、淋しさは、誰にとっても淋しさであることに変わりはない。このプロジェクトで、私はアナスタシアの私生活を断片的に追いながら、フィクション・ライターとして、彼女を客観的に見ることにした。


社会に馴染めなかったり、社会の中で孤独感を感じたりするという経験を、誰でもがするのだというのは強く感じる。たとえ、ぎゅうぎゅう詰めの地下鉄の中でさえ、孤独を感じることがある。でも、都会の喧噪や会社での仕事にまぎれていると、寂しさを感じることさえ、忘れてしまいそうだ。今回のシリーズでは、陰気で、寂しがり屋なのに、時としてエキゾチックで華やかで陽気な面を見せたりする、人間の理解しがたい複雑さを捉えるべく、私たち誰もが持っているかもしれない、秘密の花園を追いかけてみた。

各写真はクリックすると拡大表示されます。
 
マンジャリ・シャルマ ウェブサイト Manjari Sharma
(翻訳:若林泰子)

Lenscratch サクセスストーリー タミ・ボーン

私は、長いこと、タミ・ボーンの夢のような、シューリアルな写真に目を奪われている。そして、レンズスクラッチで彼女の作品を紹介してきた。つい最近、ファイン・アート・フォトグラフィー・センターからのニュースレターで、タミの作品がセンター・フォワード展で審査員賞を受賞したこと、さらに、彼女の作品が、テキサス・フォトグラフィック・ソサエティーのプリント・プログラムに選ばれたことを知った。こうして注目される彼女のサクセス・ストーリーを紹介しようと思う。



タミは、テキサス南部で生まれ、現在はオースティンに住んでいる。テキサス大学に通い、授業やワークショップを通じて、写真の勉強を続けている。最近の作品は、おもに数枚のイメージから構成されている。一枚一枚のイメージは手書きの文章で始まり、そこには思い出や彼女の子供のころのことが語られている。イメージに近づくためのアプローチである。まるで物語のように、徐々に写真へと移っていく。イメージどおりになるまで、何度も何度もくりかえし写真を撮り直す。彼女は、自分のイメージどおりになるまで、一心に、その作業を繰り返す。


-- ファイン・アート・フォトグラフィー・センター賞の受賞、おめでとうございます!あなたの作品がこうして多くの人に紹介されることはすばらしいことだと思います。あなたのこれまでの写真との関わりについてお話いただけますか。どんなものを写してきたのですか?

ありがとうございます!私は常にビジュアル関係のものに囲まれています、その中でも、私は写真に興味があるわけですが、20年前に写真を始めました、まだうちの子供たちが小さな頃です。そして、当時は地元のコミュニティ・カレッジで写真のクラスを取っていました。そこで暗室の魅力に取り憑かれたのです。2、3年後、フリーでポートレイト撮影をするようになりました。主に、自然の中で子供たちを撮っていました。さらに幸運なことに、地元の小学校のことをレポートする写真も撮っていました。徐々に郊外の新聞社への投稿も始め、定期的に写真が掲載されるようになりました。最初は自分の子供たちを撮影し、同時にほかの子供たちも撮影するようになったのが、写真に入るきっかけだと言えるでしょう。そのころ、両親の持っていた「Life and Look」という雑誌にすごく憧れていたことを今も覚えています。私にとって、とても強い印象のものだったのだと思います。

-- どのようにご自分独自のスタイルを作ったのですか?最新鋭のものですか?それとも最初はトイカメラで始められたのでしょうか?

独自のスタイルとは、面白いですね。自分ではそういうふうには思ってないので。でも見方は独特かもしれません。どこから始まったのかは、思い出せません。自分が誰なのか、ということだと思います。写真を学び、プリントを学び、自分の目に焼き付けたものを時間をかけて最もイメージに近くなるように表現することでしょうか。かなり懸命に取り組んでいますし、ベストの方法が何か、いつも追い求めています。そういう意味からも、常に学びながら、模索していたいのです。祖母は白いポラロイドカメラを私にくれました。私が十代のときです。でも、あまり感心がありませんでした。後になって、写真を勉強しなくてはならなくなって、ニコンのフィルムカメラを買いました。当時の私にとっては、とても高価な買物でしたし、マニュアルカメラは難しかったです。


-- 影響を受けた、または影響を受けている写真家、またはアーティストはいますか?

はい、素晴らしいビジュアル・アーティストは沢山いますが、キース・カーターに特に影響を受けています。彼の繊細さと、目を見張るような美しさが好きです。彼の作品を二枚、自宅の壁に架けてあって、毎日のように何回もその作品の前を行ったり来たりしています。何度見ても、魅力を感じます。ショーン・ペリーの物の見方にも影響を受けています。ショーンは、典型的なアーティストであり、かつての私の師ですが、彼と出会えたことをとても幸運だと思っています。ある日クラスが終わった後、彼が私の作品について話をしてくれました。そのとき、ポートレイト撮影を超えたものがあることを初めて知りました。ビル・ケネディーは、オースティンにあるセント・エドワード大学の写真学科の教師であり、K2プレスのオーナーですが、彼にはとても勇気づけられました。数年前、ビルは私にこう言いました。「作品作りで一番大切にしなくてはいけないことは、作品を通して何を伝えたいかだ。」こうしたアドバイスをたびたび思い出しています。

さらに、大自然、人々の日常や生き物たち、日没の時間帯の透き通るような光 - これらのことが自分の作品作りにはとても欠かせないものであることです。

  
-- あなたは次々に発表をし続けているわけですが--昨年は10回写真展を開催していますし、今年はすでに5回発表なさっています。何かご自分の哲学のようなものをお持ちでしょうか?また、さまざまなコンペティションに出品しようと思っておいででしょうか?

私の哲学は、作品を作りながら、経験を積んで行くということです。これまで、コンペティションに応募するまでに、随分作品作りをしていました。ですから、やっと賞をいただけるように作品が追いついて来たような感じがしています。最近は、コンペティションに応募するときに、審査員たちがどのような方々であるかにも気を配って、慎重に応募するようになりました。


-- あなたは、積極的にソーシャル・メディアを利用していますか?また、ソーシャル・メディアを通じて、作品をどのように売り込むことで何か変わりましたか?

私はソーシャル・メディアはそれほど利用している方ではないと思います。ツイッターのアカウントは持っていますが、利用していません。フェースブックを通じて、外国に居るフォトグラファーやアーティストの仲間たちと連絡を取り合っています。他の人たちがどんな作品作りをしているかを知りたいですし、彼らの作品についての評論なども読みたいです。


-- ポートフォリオ・レビューには参加されたことはありますか?

はい、2007年のフォト・ノーラと、2008年のレビュー・サンタフェに参加しました。フォト・ノーラのときは、生まれて初めてで、緊張しました。2、3週間後には、フォト・ルシーダに行く予定です。まだ準備中ですが、すでに緊張しています。


-- 新人のフォトグラファーたちにどんなアドバイスをしたいですか?

いくつかあります。まず、プロジェクトを決めことです。どんなプロジェクトでもいいと思います。そして写真を撮り、最終的にはプリントも大切ですが、それまでのプロセスにも気を配りながら進めます。プロジェクトを遂行することは、写真を撮る上でも、内面的にも、自分が成長をする絶好の機会です。写真を撮りつつ、内面的に成長をすることは、別々のことではなく、相互に刺激し合うからです。何か気になることがあるなら、どんなことでも先ずやってみることです。あなたにとって、ずっと変わらない存在のものとが何であるのか、出来る限り思い出してみることです。何故それが大切なのか、自身に問いかけてみる。そしてどうしたらビジュアル・イメージとしてその大切なものを表現出来るのか、考えてみることです。そうすることで、いつから大切になったのか、あなた自身がそのことを知ることは、とても重要です。


 -- 最後の質問です。あなたにとって、最高の一日とはどんな日ですか?

最高な一日、それはコスタリカの太平洋側の静かな波に乗って、サーフィンをしているときかもしれません。そしてカメラを持って、日が沈むまで歩き回ることかな。もし叶わないなら、今持っているイメージを表現するために、何時間かただ無心に写真を撮り続けること。いいストーリーを考えつくと、撮らずにいられなくなるほど、夢中になるんです。

各写真はクリックすると拡大表示されます。
 
タミ・ボーン ウェブサイト  Tami Bone website
(翻訳:若林泰子)

アリーン・スミスソンとレンズスクラッチ

アリーン・スミスソンさんはロサンジェルスに在住の写真家でレンズスクラッチという有名なブログジンをだしています。
今年、彼女はグリフィンミュージアムのライジングスターアワードにも選出されました。
レンズスクラッチでは、これまでにたくさんの世界の写真家を紹介してきました。ほんとうにさまざまな写真家がこの世にはいるんだな、と驚かされます。

これからレンズスクラッチに掲載された写真家達を少しでも日本の写真愛好家の方々に紹介していきたいな、と思っています。

まずはアリーンからのメッセージとプロフィールをご覧下さい。

 私のブログ、レンズスクラッチを日本の皆さんにも読んでいただくことができてとてもうれしく思っています。私自身、写真家であり、編集者、そして教育者と して活動していると同時に、妻であり、母でもあります。現在カリフォルニア州ロサンゼルスに住んでいますが、ニューヨークにも長く住んでいたことがありま す。

私がブログ・レンズスクラッチをスタートしたのは、随分前のことです。このレンズスクラッチを通じて、コンテンポラリー・ファイン・アート・フォトグラ ファーたちについてお伝えできればと思っています。私自身、フォトグラファーたちがどのようなことを考えて作品作りをしているのかを知りたいと思っていま すし、なぜそのようなイメージを撮るのか、そして個々のフォトグラファーについても、さらに理解を深めたいと思っています。
どうぞ皆さんもお楽しみください!