今年2012年はFoto Fest ビエンナーレの開催年だ。前回は2010年でテーマはContemporary U.S. Photographyだった。今年はContemporary Russian Photographyなのだそうだ。
ミーティングプレースの紹介はしてあったが、フォトフェスト自体の様子はまだ報告していなかったので簡単に紹介しておこう。
Foto Festは写真家のフレッド・ボールドウィンとウェンディ・ワトリスによって1983年に創立され、1986年から本格的に開催されるようになった。今年で14回目。アメリカで最大でもっとも歴史が長いフォトフェスティバルである。
フェスティバルの内容はヒューストン市内各所で行われる写真展、ミーティングプレースと呼ばれるポートフォリオレビュー、セミナー、ワークショップ､コレクターのためのプリントオークション、ブックサイニング等々で今年は3月16日から4月29日までの長期間に渡って開催される。
写真展は美術館、コマーシャルギャラリー、NPOのスペース、アーティストによって運営されているスペース、企業のロビー､学校、レストランなど広範囲な場所で展開され市内100カ所以上で開催される。
ディレクターであるウェンディ・ワトリスさんは精力的に世界の写真関係者と交流していて、2010年からはパリフォトの期間中にミーティングプレースのヨーロッパ版を開催している。
フレッド・ボールドウィンさんに聞いた話だが、まず最初に4人の写真家を呼んでロデオを撮影してもらって展覧会を開いたのが発端になったそうだ。4人の写真家とはウィリアム・クライン、ヘルムート・ニュートン、奈良原一高ともう1名（知らない写真家だったので名前を忘れてしまった）。これが評判になったので思いきって600人の人を招待してパーティをしたという。
なぜヒューストンなのか。これはテキサスという土地柄に根ざしている。石油成金が多いこの街では1億円くらいの投資で穴を掘って一発大当たり、ということがあるので何か面白いことをしようと大金を出してくれる個人がけっこういるそうなのである。
2010年の予算は約1億6千万円。その中の30%が個人基金であることに土地柄があらわれていると思う。40%が売り上げ。その他にスポンサーとしてJPモルガンやHexaGroup､アート関連の基金、ダブルツリーホテルグループやコンチネンタル航空など多数がバックアップしている。
フルタイムスタッフは7、8名でフェスティバル期間中は35名くらいのボランティアスタッフが働いている。ボランティアは世界中から自費で集まってくるそうだ。
市内は広くクルマでの移動が基本となっているため歩いていろいろな展示会場を見て回ることは不可能に近い。見たい写真展をマークしておいてタクシーでいくしかないだろう。ミーティングプレースに参加する人はレビュー終了後にバスツアーがあるので便利だ。
ともかくスナップをたくさんアップしておくので参考にしていただければ、と思う。クリックすると拡大してみることができる。
僕はサンフランシスコ経由でヒューストンに行ったが直行便はたぶんないと思うのでアメリカで国内便に乗り継ぐときの注意事項をひとつ。
セキュリティのチェックと入国審査が厳しくなったために乗り継ぎ時間はたっぷりあったほうがいい。乗り継ぎの空港で入国審査があり、預けた荷物も一度出てきてしまうのでピックアップして再度あずけなおす必要がある。セキュリティチェックも日本よりも厳しく靴を脱いだり手間がかかるので時間がかかる。昨年、シアトル乗り継ぎでデンバーに行った際も乗り継ぎ時間は2時間とたっぷりあったはずなのに、なんと入国審査で1時間半も待たされた。焦って乗り継ぎ便の搭乗口までいこうとしたが、空港内の電車で迷ってしまってもたもたし、国内便の搭乗カウンターにたどり着いたのは発着5分前。娘をだっこしてダッシュしたがあやうく乗り遅れるところだった。入国審査でもセキュリティチェックでも乗り継ぎで時間がないから急いでくれ、といってもなかなかとりあってくれない。あんのじょう預けた荷物も1日遅れで到着となった。
ユナイテッドやアメリカの主要エアキャリアでいくと国際便と国内便が空港の端から端まで行かなきゃならない、ということも多いらしくしかもアメリカの空港はえらく広いのでとにかく時間がかかるのだ。
今年はヒューストンに行くという日本の写真家の方がいるようなのでぜひ注意してくださいね。
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| ヒューストンはアメリカの大都市なので高層建築が立ち並ぶが、クルマ社会なので人通りが少ない |
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| 街の各所にはFoto Festの旗が飾られている |
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| ミーティングプレースはダブルトゥリーホテルで開かれるのでそこに投宿するのが便利。フォトフェストのサイトから予約すると割引がある。僕は7泊して1393.76ドルだった |
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| 受付ではカタログやTシャツを販売している |
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| 受け付けの中のワーキングスペース |
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| キャノンも協賛していたのだろうか |
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| マップ |
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| レビュアーとレビュー参加写真家のためのバス |
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| 火事で焼けた映画館からでたフィルムをプリントしたという写真展会場 |
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| American Photographs Before 1950というウィリアム・ハント氏のコレクションの展示 |
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| ギャラリーに付属する図書室も充実している |
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| Jason Lazarusという写真家の作品 |
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| マリー･ヴァージニア･スワンソンとLACMAのキュレーター・エドワード・ロビンソン |
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| Todd Hidoの作品 |
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| 関係者のレセプションパーティで挨拶をするウェンディとフレッド |
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| ヒューストン市長 |
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| Foto Magazinのマンフレッド・ゾルナー |
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| Richard Mosseの作品 |
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| バンド演奏などもあってこの辺がいかにもアメリカっぽい |
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| ボランティアスタッフ |
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| Greta Prattの作品 |
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| Greg Stimacのインスタレーション |
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| この看板が関連展示場の目印 |
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| 写真展会場でこのあとVIPのためのディナーパーティがある |
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| ホセイン・ファルマーニ |
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| レビュアーのヨーロピアン・フォトグラフィーの編集長アンドレアス・ミューラー・ポールとマンフレッド・ゾルナー |
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| 企業のビルのロビーでおこなわれるオープニングは広すぎてちょっとまのびしている感じにも思える |
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| Laurie LambrechtのInside Roy Lichtenstein's Studio |
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| Laurie Lambrechtのトーク |
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| Nicole Belleの作品 |
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| Fraction Magazineのデヴィッド・ブラム |
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| フレッド・ボールドウィンさんとウェンディ・ワトリスさん |
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| Literacy through Photographyプログラムを担当するKristin N.Skarbovigさん |
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| Judy Haberlの作品 |
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| 企業の広い空間にも写真は自然になじんでいる |
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| さまざまなジュースの色だけを撮影した作品 |
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| コマーシャルギャラリーでの展示 |
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| コマーシャルギャラリーでの展示 |
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| コマーシャルギャラリーでの展示 |
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| コラボレーションの仕方によって立て看の色が違うようだ |
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| Keith Carterの作品 |
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| Shelley Caltonの作品、この下2点とも |
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| Discoveryという新人の写真展でとりあげられた志鎌猛夫妻はコレクターの家に招待されて宿泊していた |
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| コレクターの私邸で開かれたVIPパーティ 下9点とも |
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| こうしたパーティでも盛んに情報交換がおこなわれている |
投稿
いつかは、海外でポートフォリオレビューに参加することを夢見る私にとって、このような臨場感ある紹介は、本当に参考になります。有難う御座います。
返信削除ところで、一つお伺いしたいことがあります。私は、写真表現方法として、大判の透明陽画に取り組んでいます。8*10程度の透明支持体上に形成した画像にバックライトをつけて鑑賞する形態です。最近は液晶ディスプレイ技術が進歩したおかげで、バックライトが入手しやすくなっていることと、iPodなど電子ディスプレイで写真を鑑賞することが日常では極自然になってきています。電子ディスプレイは原理的に動的な透明陽画であるので、親和性が高いと思っているからです。何より、表現できる幅が大きいことに魅力を感じています。
国内の写真展で、バックライト付の透明陽画を見る機会はほとんどないのですが、海外ではいかがでしょうか？
海外の事情に詳しいと思い、お伺いいたしました。どうぞよろしくお願いします。
ご質問ありがとうございます。
返信削除まず匿名ということで僕はインターネット上で匿名でやりとりすることに非常に違和感を覚えます。僕自身も実名で自分の写真を海外などに持って行って是非を問うていることをそのまま書いているわけです。コンペに落選したり、こてんぱんに言われたりすることも興味を持った方の参考になればと思い書いているわけですね。
まあ、せめてウェブ上のニックネームでもつけて投稿していただきたかったな､と思います。でないと、あてどのない人に語る､ということはむなしい行為になってしまうのです。
ご質問自体は真摯なお訪ねなので、今回はお答えしておこうと考えました。
写真はそもそもなんでもありのメディアなのですから、表現のスタイルは既存のことにこだわる必要はないと僕は考えています。欧米のポートフォリオレビューでものぞきからくりのような装置に入った写真を見せている人もいました。バックライトをつけたものを見たことはありませんが､それがご自身の表現スタイルとして面白いと考えるのであればそこを極めていけばいいと思います。
僕自身も大きめのポジフィルムを何枚か重ねて透過でみるようにしたオブジェをつくったこともあります。
また、ノートパソコンでプレゼンする人もふえていますので、展示方法やその作品の状態をわかりやすくパソコン上で理解してもらう方法も良いと思います。
ご自分の表現として人に伝えるときに最善の方法であるならば、どんなに奇抜なものでもかまわないのではないでしょうか。
まあ、ポートフォリオレビューの断り書きとかアドバイスには会場に入りきらないようなとんでもない大きさのものとか人に不快感を与えるような悪臭を放つ作品は勘弁してくれ､と書いてありますけどね。
永田先生
返信削除初めまして。土佐尚子と言います。
このブログの熱心な読者のアーティストです。
ビデオ作品は、MoMAにコレクションされています。
http://www.moma.org/collection/object.php?object_id=120154
最近が写真の作品を作っており、先生がブログに掲載されていた公募に応募しようと考えております。
以下の３つの公募の中で、特徴と、規模の大きさ、難易度などをご教示いただけると、大変ありがたく思います。
1) THE 10th ANNUAL International Photography Awards
2) THE NEW NEW YORK PHOTO AWARDS 2012
3) Lens Culture FotoFest Paris
土佐尚子 様
返信削除ご愛読ありがとうございます。
IPAはコマーシャルからファインアートまで幅広いジャンルを扱っています。今年は審査員も増えたようです。ただ締切は後数時間だったと思います。
ニューヨークフォトアワードは今年からできたようなのでよくわかりません。
レンズカルチャーはどちらかというとドキュメンタリーよりかな、と思います。
どちらにしても現在円高なので、いろいろと応募されてみて自分にあったコンペを探していくのがいいのではないでしょうか。